こんにちは、しーどらです。
山崎ナオコーラさんの
「鞠子はすてきな役立たず」という本を読み終えました。
軽いタッチで書かれており、あっという間に読了。
気軽に読める物語ですが、なかなか示唆に富んでいて、既に2回目も読み通したところです。
(ネタバレあります)
高卒銀行員の夫小太郎は
「働かざるもの食うべからず」という父親の考えを刷り込まれて育った常識人。
一方で妻の鞠子は
院卒で書店でのアルバイト生活を楽しむ自由人。
大学院での研究テーマは「とりかえばや物語」
2人の出会い
結婚
夫の転職(銀行員を辞めて作家へ)
地方へ移住
鞠子の母親との同居
「趣味」をキーワードに
ナオコーラさんの
働くこと、働かないこと、生きていくことへの考えが散りばめられたストーリーになっています。
鞠子は出来れば働きたくなくて、趣味の世界を純粋に楽しみたい人。
それは、絵手紙だったり、俳句だったり、野菜作りだったり、小説の執筆まで。
そして、趣味は正に趣味であって、技術の向上や、趣味を生かして収入を得るなんてことを目指してはいけないのです。
それは夫の定収入があってこそなのだが。
ただし、夫が病に倒れたり、働けなくなったりしたら正社員の試験を受けて一家を支えようという気持ちも持ってはいるのです。
鞠子と一緒に暮らすようになって小太郎は常識の皮を一枚一枚脱ぎ捨ててゆきます。
小太郎は母が言う
「お父さんは『俺は働いたからご飯をたべられるんだ。自分は働いてえらい。働ける自分は幸せだ』って自分に言い聞かせてるの」
こういう世界の住人でしたが、鞠子と暮らすようになって
「働かないものも、どんどん食べろ」というように考えが変わっていきます…。
働きたくたって、働けない人はいるんだしね、と。
ナオコーラさんは、後書きで(若い頃は金が好きで収入によって自信を得ているようなところがあったが)
「未来において金は流行らなくなる」
とまで言いきっています。
お金が流行らなることはないんじゃないの?と思いつつ
長時間の労働にもやりがいを感じ、多額の収入を得て、高価なものを手に入れて、様々な経験をすることに重きをおくグループと
最低限の労働時間で収入もそう多くはないけれど、工夫を重ねてやりたいことをやるグループに分かれていくのかなぁという感想を持ちました。
既に分かれ始めていますか?
☆oogleや☆mazonみたいな企業にわんさか稼いで頂いて一般人はベーシックインカムで暮らすという世の中で素敵な役立たずになりたい!と思う反面、人の役にたって感謝され、それが収入に繋がるというのも
キライではないんですよねぇ。
仕事があってもなくても
収入が多くても少なくても
趣味があってもなくても
あー何か今日もそこそこいい日だったなと思える日が1日でも多いといいなぁ、そんな事を考えるきっかけをくれたナオコーラさんの本でした。
今日もおつきあい頂き、ありがとうございます(*^^*)