あさお日記

常日頃感じていること、好きなものや出来事を心に浮かぶままに綴っていきたいです(メインブログ)

小景 子育て夫婦の朝

平成3年(1991年)のニュースステーション久米宏氏が伝えた事を当時の日記に書き記している。

1人の女性が生涯産む子供の数が1.53人になったというとことで、政府の役人達が「これは由々しき問題です」と述べたというのだ。


久米氏がこのままの出生率が進めば日本人がいなくなる可能性もあるが、それは日本人が選択した結果です、というような事を言ってた記憶がある。


30年以上前の話なので、うろ覚えではあるが。

 

 

翻って2023年1月。生涯子供なし、日本突出という記事が新聞の一面に踊っていた。

 

この夏1人の女性が産む子供の数は1.3人を切っている。

 

 

(小景 - 子育て夫婦の朝)

 

妻がテレビのニュースをつけると
いよいよ日本経済が先細りし始めたもんで「困った、困った、皆でなんとかしてくんないかな、少しお金配って様子見るか」とおじさん達が一見困ってる風に少子化対策会議を始める様子が写し出された。

 

おじさん達はバブル期に壮年時代をすごしたので、蓄財しており、態度や物腰にも余裕がある。

ペットボトルのお茶をテーブルに並べながら、にこやかに会議を行う。テレビの向こう側でこんな会話があったのかなかったのか。

 

「どうしたら、若い人達が結婚してくれるのかねぇ」

「私達が若い時とは違って、ほら、多様性?だから結婚しなくてもいい時代なんですよ…」

「多様性ねえ、ハハハついていけませんねぇ」

「年金払ってくれる若者を増やさんとねぇ。日本もこのままだとまずいですしね」

 

 

妻は呟く。

「このおじさん達は何も困ってないわよね。
だって、日本が滅びる前に死んじゃうじゃない」

妻はリモコンをブチっと押してテレビを消した。


お得意の先送りして自分達が逃げ切れればいいのだもんな、夫も呟く。

 

男女機会均等とか平等な社会とうたった会議でおじさん達に花をそえるべく出席する女性は頭も良く、恵まれた環境で働き成果を出している、有識者と言われる人かあるいは世間に名を知られかつ可愛らしい感じで子育てをしているタレントさん?が集まってる。

彼女達だってものすごく努力をしてその地位を手に入れたのだろうが、お金を持ってる分、子供の預け先とか息抜きにかけられる金額が庶民とは違う気がする。が、これも勝手に想像してるだけの世界だ。実は必死でバランスを取りながら毎日を過ごしてるのかもしれない。

 

 

子供を育てながら働き続けるのは本当にしんどい。
子供は可愛いけれど!
熱は出す。
転んで縫うはめにもなる。
保育園でお友達を押したので、相手の親御さんに謝って下さいと先生から連絡がはいる。

 

学校行きたくない?どうしよう。

まじか、私だけママ友出来ない。

えっ、夏祭りの役員ですかぁ?

私去年やりました。

中学受験?学費プールしておいて、英語圏留学の方がよくないかなぁ?

エンドレスのハードル競争のように、一度子供を産んだら次から次から何かが起きる。

自分自身の価値観を試されるかのように。

 

 

「そうそう、週末の授業参観は君が見に行ってくれるかなぁ。前回は僕が行ったよ」

「アタシ美容院予約しちゃったよ。もう半年行ってない」

「えーっ、君、まる子見なくていいのか」

「まる子は今回はその他大勢よ。特に何にもしないわよ」

「あっ、あなたも予定があるんだったらバァバに頼むかな。」

「お義母さん今週末はフラの発表会自分が出るんじゃないの。

わかった。僕が行くよ。」

 

「それよりさ、2人目考えないの、子供」

「無理に決まってるでしょ。今更何言ってんの。

家のローンを払うのに私もう仕事やめらんないよ。1人で充分」

 

「僕、男の子も欲しかったんだけどな」

「じゃああなたが産みなさいよ、アタシはもう体力的に無理、無理」

 

 

 

地球上の人口が爆発的に増えているので、生命体としての地球は人口増加を望んでない気がする。

食料だって足りてないのでしょ。

先に文明を手に入れた国々の女性達がそうであるように、自分自身を大切に出来る環境が整えば、毎年のように子供を産むことはなくなるだろう。

お金がかかるとかそういう事ではなさそうだ。

 

 

 

今、小松左京先生だったら、日本沈没する前に日本人消滅っていう小説を書かれるのだろうか。